さまざまな眼の病気

血管腫

乳児血管腫(これは眼瞼や眼窩の乳児血管腫のことと考えて、脈絡膜血管腫は除外して記載します)

■はじめに
乳児血管腫は、いちご状血管腫や、赤あざとも呼ばれている良性腫瘍のひとつです。体のどこにでも生じますが、眼科で問題になるのは、まぶたと眼窩に生じた場合になります。
■症状
生まれたときには目立ちませんが、数週後から目立ち始め、6~12ヶ月で増大し、その後は徐々に消退していきます。病変が表面に近いと赤くモコモコとした腫瘍ですが、深い部分にあると色調が赤くなく、ドーム状に盛り上がって見えます。
通常痛みはありません。病変が大きくなって眼瞼下垂(まぶたが下がった状態)になると、形態覚遮断弱視という弱視になってしまうため、治療を行う必要があります。
■原因・診断
原因はわかっていませんが、血管内皮細胞という、血管の内腔を覆う細胞が腫瘍性に増えている状態です。血管も増えているのですが、血管が集まって瘤のようになっている血管奇形とは別の疾患です。
■治療・管理
1歳前後で増大は止まり、その後縮小してくることが多いため、経過観察を行います。治療を急ぐ場合は、腫瘍が非常に大きく外見上問題となる場合、眼瞼下垂など腫瘍によって視路がさえぎられて弱視になる危険性がある場合です。また、眼窩内で腫瘍が増大し、眼球や視神経を圧迫し、視機能に影響を及ぼす場合にも治療を検討します。
治療法として、ステロイド治療、レーザー治療などが行われてきましたが、プロプラノロールというβブロッカーの有効性が示され、2016年にはヘマンジオルシロップが保険収載されました。2017年に改訂された血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017(難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫および関連疾患についての調査研究班)には、「慎重な観察の下に投与されるのであれば、プロプラノロール内服療法は乳児血管腫に対し第1選択となる可能性のある薬剤である(推奨の強さ1:強く行うことを推奨する、エビデンスレベルA)と記載されていて、ステロイド治療や外用療法より高い推奨レベルになっています。低血圧や低血糖などの合併症を生じる危険性があるため、小児科の先生に全身を診ていただきながら内服治療を行う必要があります。

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