学会概要 - 理事長挨拶

日本小児眼科学会は、子どもの眼の疾患に関する医療と学問の発展を目的として活動しております。
 
子どもの眼の疾患の種類は、きわめて多岐にわたっています。眼鏡やコンタクトレンズを必要とする近視や遠視などの屈折異常やその合併症、視力の発達が妨げられて起こる弱視、先天白内障や緑内障、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜硝子体変性症、視神経障害、腫瘍など、子どもの視力を脅かす疾患は非常に多くあります

眼科の教科書を見れば、半数以上の疾患が小児期に起こることがわかります。また、その原因も、遺伝や先天異常、感染症や炎症、環境によるもの、機能障害などさまざまで、これが視機能が発達する小児期に働いて、重篤な視覚障害を起こします。
本学会は、これらの多くの小児におこる眼疾患について、臨床および基礎の学問を発展させることを目的にしています。

子どもの診察は、時間をかけて慎重に行わなければなりません。検査だけでなく、手術などの治療でも、疾患の種類が多いこともあって、特殊な技術や知識を要します。しかし近年、検査機器や手術機器の発展によって、これまでは治療が不能であった疾患でも、的確に診断し治せるようになってきました。一方で、保護者の方々にも丁寧な説明を行わなければなりません。私共は、小児眼科の専門医を増やすだけでなく、成人を診療する眼科医の方々が子どもの診療を行うこともお手伝いするために、その技術や知識の普及に貢献したいと考えております。

視力の発達期にある子どもの眼疾患は、早期発見・早期治療が重要です。視力の発達が障害されて弱視が成立した後では、治療が困難となります。そのために健診の発展を重視し、子どもが成長した後の学校保健にも力を入れます。重篤な視力障害にいたって回復の望みがない場合は、リハビリテーションによって早期の社会参画や適切な就学を目指します。

次世代を担う子どもが健康な眼と視力をもつためには、いまだ原因不明あるいは治療不能な多くの疾患を克服しなければなりません。このためには、実際の診療を向上させるとともに、研究を進めなければなりません。

小児眼科の研究については、臨床領域では、近年新しい検査や手術方法が開発され、疾患の予後改善に大きく貢献しています。基礎領域でも遺伝子解析や分子生物学の研究が進み、iPS細胞やES細胞を用いた再生医学、遺伝子治療、新しい薬の開発が日進月歩で進められています。小児眼科の分野では、疾患の種類が多いことから、臨床・基礎ともに多方面で研究を進め、その成果を世界に情報発信することが本学会の使命です。

日本小児眼科学会は、子どもの眼の問題に関するさまざまな学会や協会と連携して活動しています。子どもの視力や両眼視機能の発達とその障害、斜視のような眼位異常については、日本弱視斜視学会と協力して診療・学問の発展に努めています。屈折異常とその問題は日本近視学会と、低視力児に対するリハビリテーションについては日本ロービジョン学会と、健診や学校保健は日本眼科医会と協力しています。疾患の種類が多岐にわたっているので、角膜、白内障、緑内障、網膜硝子体、神経、腫瘍、眼形成などそれぞれの疾患の専門学会とも協力して診療・学問を進めています。さらに子どもの検査や訓練には視能訓練士の存在が欠かせませんので、日本視能訓練士協会とも密に連絡をとっています。これらの学会・協会との連携は、このHPの随所やリンクの頁でご覧いただけると思います。

このホームページの役割は、会員の皆様へ学会のお知らせ、会員間の情報交流とともに、会員以外の医療関係者や一般の方々への情報提供ができればと考えております。
さまざまな疾患の説明や全国の小児医療を専門とする医師の紹介、最近の診療や研究の成果、わが国の医療制度の変化、新しい研究成果などについて、常に最新の情報を提供いたします。

どうぞよろしくご支援のほどお願い申し上げます。

日本小児眼科学会 東 範行

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