さまざまな眼の病気

心因性視覚障害

■はじめに
心的ストレスが原因で視力が出なくなることを心因性視覚障害といいます。視力障害だけでなく、視野障害や色覚異常、眼位異常などもみられることがあります。小学校中高学年の女児に多く、男児の2~3倍、もしくはそれ以上といわれています。受診のきっかけは、本人が視力低下を積極的に訴えてというよりは、むしろ学校健診で視力低下を初めて指摘されたなど受動的なものの傾向があります。
■原因・診断
原因は心的ストレスですが、小児を取り巻く環境、つまり家庭、学校、塾、習いごとなどの中にストレスの原因となり得るものがあります。原因として最も多いのは家庭環境です。親との関係、兄弟との関係など様々ですが、何らかの原因をきっかけに本人が寂しい気持ちを抱え、それをうまく表現できずに我慢していることがストレスになると考えられます。学校では先生との関係や友人との関係が原因となることがあります。また、怪我などをきっかけに怪我をしたほうの眼だけに視覚障害がでることもあります。ただ、原因は一元的なものではなく、患児自体の性格も含め、いろいろな要素が絡み合っていると考えられます。なかには、原因が全く見つからないものもあります。
診断は、特殊なテクニックを用いた視力検査法でほぼ可能となります。一種の暗示法ですが、患児を励ましながら、メガネレンズを交換しながら、最終的に度の入っていないレンズで1.0まで視力が上がったら心因性と診断できます。視野検査では水玉状に視野が欠けていたり、検査の途中でらせん状にどんどん視野が狭くなっていくことがあります。色覚検査でも約半数の患児がうまく答えられません。そしていずれの検査の結果も、病気を示す典型的なものにならないのが特徴です。しかし、他の病気が隠されていることがありますので、いつもそれを念頭に置いて除外しつつ診断をすることになります。
■治療
子供の心的ストレスの原因を取り除くことが治療になります。原因となっていることに心当たりがあれば、周囲の大人が改善することが必要です。なかなか症状が治癒しない場合は精神科のコンサルトが必要になることがありますが、子供に精神的問題がある場合は少数にすぎません。

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