小児眼科を専門とする医師

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網膜黄斑ジストロフィー

■網膜黄斑ジストロフィーとは
ジストロフィー(異栄養症)とは、遺伝子の異常による代謝障害のために成長に伴い組織が萎縮・変性をきたす病気のことで、全身の病気では筋ジストロフィーが有名です。眼では角膜ジストロフィーと網膜黄斑ジストロフィーが知られています。網膜黄斑ジストロフィーは、黄斑部を含む網膜が変性を起こす病気で、通常、両眼性で、多くは遺伝します。網膜黄斑ジストロフィーは、単一の病気ではなく遺伝形式や病状、進行の度合いが異なるいくつかの病気の総称で、生後からほぼ不変なものから、進行し失明に至るものまでさまざまです。
■網膜黄斑ジストロフィーの症状
網膜黄斑ジストロフィーの最初の症状としては、生後数カ月で目があわない、追視しない、目のゆれ(眼振)などが見られたり、3 歳時健診や、就学時健診で視力不良が発見されたり、夜に見づらい(夜盲)、日中にまぶしく見づらい(昼盲)といった症状が出たり、様々です。大別すると、網膜の視細胞のうち、杆体が傷害されて夜盲と視野狭窄が見られるもの、錐体が傷害されて視力障害や眼振を示すもの、両者が混在するものに分けることができます。
■網膜黄斑ジストロフィーの診断
網膜黄斑ジストロフィーの診断は、視力検査、眼底検査にくわえて視野検査、色覚検査、蛍光眼底造影、網膜電図検査が必要なことが多く、また三次元光干渉断層計、自発蛍光撮影、網膜電図検査、眼球電図検査、遺伝子検査、血液検査など多数の検査が必要になることもあります。小児ではできない検査も多く、成長を待たないと正確な診断ができないことは少なくありません。また病気の程度や進行速度を判断するにも数年間経過を見ることがあります。
■網膜黄斑ジストロフィーの治療
確立した治療法はありません。進行を遅らせることを期待して薬物を投与することもありますが、効果は確かめられていません。白内障など,他の病気を併発すれば、それに対して治療を行います。
■主な網膜黄斑ジストロフィー
1.錐体が傷害される疾患
1-1 Stargardt 黄斑ジストロフィー(スターガルト病)
通常学童期以降に発症。蛍光眼底造影検査が有用。常染色体劣性遺伝(ABCA4遺伝子異常)が多い。
1-2 卵黄様黄斑ジストロフィー(ベスト病)
学童期の視力不良、物が歪んで見える(変視症)で気づかれる。進行すると高度の視力障害が生じる。特徴的な眼底所見、眼球電図検査。BEST1遺伝子異常による常染色体優性遺伝。
1-3 錐体ジストロフィー(錐体杆体ジストロフィー)
発症時期は、小児期から成人までさまざま。視力低下、眩しさ、中心部が見えづらい、色が変わって見えるなどの初発症状。進行すれば高度の視力障害や視野障害。網膜電図で錐体反応が減弱。
1-4 杆体1 色覚
生後数カ月で、眼振や視力不良、羞明で気づかれることが多い。視力は0.1程度で、1色覚だが非進行性。眼底検査で異常はなく、網膜電図で診断される。常染色体劣性遺伝(CNGB3、CNGA3、GNAT2 遺伝子異常)を示す。
2.杆体が傷害される病気
2-1 網膜色素変性症
早ければ学童期から、夜盲を発症。眼底検査と網膜電図、視野検査、蛍光眼底造影検査で診断。進行に伴って徐々に錐体細胞も障害され視力も低下する。遺伝子異常は全体の50%以下で、残りは孤発例である。遺伝形式は常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖劣性遺伝など様々である。
2-2 先天停止性夜盲
近視を合併し、矯正視力の不良や夜盲で小児期から学童期に気づかれることが多い。非進行性で、眼底異常はないか、あっても軽度。視野異常も軽度で、網膜電図検査によって診断がなされる。遺伝形式は、X連鎖劣性遺伝(CACNA1F遺伝子異常、NYX遺伝子異常)を示すことが多い。
2-3 小口病
生まれつきの夜盲で小児期から学童期に気づかれる。夜盲以外の症状は通常なく、非進行性。特有の眼底所見と網膜電図検査などで診断される。常染色体劣性遺伝(SAG遺伝子異常)である。
2-4 コロイデレミア
小児期から学童期に夜盲や視力不良で発症する。進行すると視野障害が起こるが、視力は、比較的晩期まで保たれる。眼底検査、網膜電図や、蛍光眼底造影で異常所見を示す。主にX 連鎖劣性遺伝(CHM遺伝子異常)であり、保因者である女性にも眼底異常や夜盲が出現する。
2-5 脳回状網脈絡膜委縮(Gyrate atrophy)
学童期頃から視力低下、視野障害、夜盲が進行する。診断には血清オルニチン値測定が必須である。コロイデレミアと異なり、アルギニン制限食やビタミンB6 の投与が進行予防に有効なことがあり、早期に診断する。常染色体劣性遺伝。

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