小児眼科を専門とする医師

全国において、小児眼科診療を専門に行っている医師の一覧が、掲載されています。

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未熟児網膜症

■はじめに
赤ちゃんの網膜の血管は在胎36 週頃に完成します。予定日より早く生まれた場合は、網膜の血管は途中までしか伸びていません。血管の伸びが途中でとまってしまい、血管が枝分かれしたり、眼の中心にむかって立ち上がったりと、異常な発達をすることがあります。これを未熟児網膜症といいます。生まれたときの体重が1,800g 以下、在胎週数34 週以下とハイリスクがある場合は、眼科医による眼底検査を受ける必要があります。発症率は出生体重1,500g 未満で約60%、在胎28週未満ではほぼ100%です。
■未熟児網膜症の分類と進行
未熟児網膜症には、徐々に進行するタイプ(Ⅰ型)と急速に進行する劇症タイプ(Ⅱ型)に大きく分類されています。Ⅱ型は在胎週数が少ない超低出生体重の赤ちゃんに起こりやすく、急速に網膜剥離へ進行して失明する危険の高いタイプです。
Ⅰ型は進行の程度によって5段階に分類されます。第1段階では、伸びている網膜血管の先端部と血管の伸びていない網膜(無血管野)との境界部分に境界線とよばれる組織ができます。第2段階では、境界線の厚みが増します。第3段階では境界部に異常な血管である新生血管ができ、増殖した組織が硝子体に向かって伸びていきます。さらに増殖組織が増すと、網膜をひっぱり網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こします(第4/5段階)。
■治療
Ⅰ型は自然に治る傾向がありますので、第2 段階までの網膜症は経過を観察します。第3段階にまで進んだ場合は、さらに進行して網膜剥離を起こすことがあります。自然に治る傾向のない第3段階の網膜症に対しては治療を検討します。Ⅱ型は進行が早いため診断がつき次第ただちに治療を行います。
治療はまずレーザーによる光凝固術を行います。血管が伸びていない部分の網膜にレーザー光線をあてて網膜を焼き、新生血管を促進する因子の放出を抑えます。治療は1 度だけでなく繰り返し行うこともあります。レーザー治療を行ったにも関わらず網膜剥離が進んだ場合は、強膜輪状締結術といって眼球にスポンジを巻く手術や硝子体手術といって眼球の中身を操作する手術が行われます。同時に水晶体を取り除く手術が必要になることもあります。
■予後
網膜症が発症しても自然に治った場合は視力への影響はありません。ただし、予定より早く生まれた赤ちゃんは近視や乱視といった屈折異常のためにピントが合いにくかったり、視線が合わない斜視という状態を合併することがあります。さらに脳内出血や脳室周囲白室軟化症といった脳の疾患をもっていることもあるために、視力の発達が妨げられることがあります。定期的な眼科検診をお勧めします。
治療が必要なほどの網膜症になった場合は、その程度によって視力がどこまで伸びるかが異なります。物を見る中心である黄斑部が障害されなければ、日常生活や学習に困らないくらいの視力になりますが、近視になることが多いので幼少時から眼鏡が必要になるかもしれません。網膜剥離を起こしたり、黄斑部にまで病変が及んだ場合は、高度の視力障害をきたします。そのため長期にわたり定期的に眼科で診察を受ける必要があります。

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