小児眼科を専門とする医師

全国において、小児眼科診療を専門に行っている医師の一覧が、掲載されています。

  1. 小児眼科を専門とする医師
  2. ここに掲載を希望される医師の方々へ

お知らせ 一般の皆様へ

網膜芽細胞腫

■はじめに
網膜芽細胞腫はこどもに特有な眼の「がん」です。発生頻度は15,000人に1人で、日本では年間80人が発症しています。早期に発見、治療を行えば、90%以上が治ります。しかし眼球の外へ広がったり転移したりすると生命に危険がおよびます。両眼性と片眼性の割合は1対2.6です。腫瘍の大きさや片眼か両眼かによって、治療方針が大きく異なりますので、正しく病気の状態を知って治療に臨むことが必要です。
■原因
RB遺伝子の異常で発症すると考えられています。RB遺伝子は、13番染色体の長腕にあり、細胞分裂を制御しています。これが働かなくなると細胞分裂のブレーキが利かなくなるので、細胞ががんになってしまいます。両眼性のすべてと片眼性の一部は遺伝性があります。
■症状
写真を撮ったときなどに、瞳が白く光って見える「白色瞳孔」で気づかれることが最も多いです。進行すると、視力が低下したり、眼球が違う方向を向く「斜視」となったりします。さらに進行すると、眼が赤くなったり、瞼が腫れたり眼球が大きくなったりします。
■診断
瞳を大きく開く目薬をさして、眼底検査を行います。5歳以下のこどもの眼の中に白い腫瘍があれば、この疾患を強く疑います。CT検査で骨のように白く見えるもの(石灰化)があれば診断はほぼ確定します。MRI検査で腫瘍の大きさや範囲を知ることができます。確実な診断は、眼球を取って腫瘍細胞の浸潤を顕微鏡で調べます(病理検査)。腫瘍が強く疑われる場合には、転移や重複癌がないかどうか全身検索を行う必要があります。
■治療法
網膜芽細胞腫は進行すると、視神経を通って脳へ広がったり、血液や脳の周りをめぐっている水(脳脊髄液)を介して全身へ転移したりします。眼球の外にまで腫瘍が広がっているかどうかで治療方針は異なります。
また眼内に腫瘍がとどまっている場合でも、腫瘍の大きさや範囲(進行度)、両眼性・片眼性によって異なります。
治療は、眼球を取り除く方法と保存療法があります。腫瘍が大きくて視力の改善が期待できなければ、眼球ごと腫瘍を取り除きます。眼球を取り除いた後は、義眼をはめますので、見た目にはわからなくなります。
保存療法には、化学療法(抗がん剤)、光凝固、冷凍凝固、放射線治療などがあります。化学療法は、数種類の抗がん剤を組み合わせて全身に投与する治療で、現在の保存療法の主流となっています。投薬の量や回数を工夫したり、レーザー光凝固治療と組み合わせて行います。一時的に髪の毛が抜けたり感染症にかかりやすくなるなどの副作用があります。また生殖機能に影響が出たり、白血病などを生じる危険もあります。
光凝固、冷凍凝固などの局所療法は小さい腫瘍に対して行ったり、併用療法として用います。
放射線療法は、効果的な治療法ですが、骨の発育を妨げたり、顔面が変形したりする恐れがあります。また放射線は将来、別の癌(二次がん)を引き起こす可能性が高いことがわかっています。
どの治療法を行うかは、眼科、小児科、放射線科の主治医を交えて十分に相談して決めていきます。
■最後に
5歳以下のこどもさんに「瞳が白く光る」「視線があいにくい」等の症状があれば、早めにお近くの眼科を受診してください。

前のページに戻る