さまざまな眼の病気

先天白内障

■はじめに
先天白内障とは、先天的な素因によって生まれつき水晶体が混濁する病気です。成長とともに現れ、進行するものもあり、その場合は発達白内障ともいわれます。原因として常染色体優性遺伝、染色体異常、子宮内感染(風疹、トキソプラズマ、サイトメガロウイルスなど)のほか、さまざまな全身疾患・症候群に伴って起こるものもあります。
■遮断弱視について
先天白内障は成人に起こる白内障と違って、早く発見して手術を行わないと、形態覚遮断弱視(視力の発達途上の乳幼児期に適切な刺激が遮断されてしまうために高度の弱視が起こって治らなくなるもの)となってしまう可能性があります。とくに、乳児期は視性刺激遮断に対する感受性がきわめて高いので、生まれた直後から高度の白内障がある場合には、両眼性では生後10 週、片眼性では生後6 週までに手術を行って、眼鏡やコンタクトレンズを装着し、健眼遮閉(片眼性の場合に良い方の眼をアイパッチで隠して悪い眼の方を使わせる訓練)を開始すると、最良の視力が発達します。軽度の白内障の場合には、早急に手術をする必要がありませんが、進行しないかどうか、定期的に眼科で検査を受ける必要があります。
■注意すべき症状
瞳の中に白い濁りがあることに気づいたら、早急に眼科に受診してください。ご両親やご兄弟に先天白内障の方がいらっしゃる場合には、生まれてすぐに眼科に受診なさった方がよいでしょう。高度の両眼性先天白内障では、生後10週以降になると眼振(眼の揺れ)や異常な眼の動きが目立ってきます。片眼性の場合には生後3, 4 ヵ月になると白内障の方の眼が斜視になってきます。このような症状が出た場合には早急に手術が必要です。片眼性で発見が遅れた場合には手術をしても視力が向上しません。
■治療・管理
乳児期の手術法は、混濁した水晶体と硝子体前部を切除する方法が一般的です。術後にコンタクトレンズ・無水晶体用眼鏡による矯正が必要です。2歳以降に白内障が進行して手術が必要になった場合には、成人と同じように眼内レンズを挿入する手術法の適応となることがありますが、度数が変化するため術後に眼鏡による矯正が必要です。先天白内障の眼には、他にも色々な合併異常が見つかることがありますので、手術の適応や手術法はそれぞれ異なります。
先天白内障で手術治療を受けた場合には、良い視力を伸ばすために、就学後までご家庭で弱視訓練に取り組む必要があります。また緑内障、網膜剥離などを併発することがあるため、成人になっても定期的に眼科で検査を受ける必要があります。

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