さまざまな眼の病気

白子症

■はじめに
白子症(アルビノ albinism)とは、からだの色素が生まれつき不足している状態です。頻度は17,000人にひとりと言われています。色素(メラニン)は色素細胞(メラノサイト)の中にあります。色素細胞は毛髪・体毛・皮膚・眼にたくさんあり、髪の色や肌の色に関わっています。特に眼の色素細胞は、虹彩、網膜、脈絡膜に分布して、目の色や、光を受け止める機能に関係しています。
からだのすべての色素が不足している場合には眼皮膚白子症、眼だけ不足している場合には眼白子症と言います。
■原因
原因は、メラニン色素を作る遺伝子が働いていないためで、病因となる遺伝子の解明が進んでいます。
眼皮膚白子症は原因遺伝子によりI型?IV型に分かれていて、性別に関係なく発生します。眼白子症はほとんどが伴性劣性遺伝を示し(X 染色体上のGPR143遺伝子)、男性に多く、女性に発症することは稀です。
■診断
典型的な眼皮膚白子症の場合、肌が白く、毛髪が金色か白色で、目の色も青や緑になります。全く色素がない方もいますが、わずかに色素が残っている場合もあります。
眼白子症の場合、肌や毛髪の色はほぼ正常で、目の色も日本人では茶色です。診断は眼底検査で網膜色素上皮と脈絡膜の色素が欠如しているか調べます。これは目薬で瞳孔を広げ、レンズを使って眼球の中を観察する検査で、網膜疾患の診断には必ず行われます。色素が欠如している場合、その下の脈絡膜血管が透けて見えます。
■視力障害
虹彩、網膜、脈絡膜の色素が欠如していると、光をうまく感じとることができません。特に視力を出す中心部分が働かないため(黄斑低形成)、弱視となります。大人になっても視力は眼鏡をかけて0.1~0.2程度で、眼がきょろきょろ揺れます(眼振)。眼振を抑えるために顔を傾けたり斜め見をしたりすることがあります。ただし稀に色素がすこし残っている場合、比較的良好な視力が得られることもあります。
■併発症
非常に稀ですが、出血傾向を伴う遺伝病(Hermansky-Pudlak 症候群)や、免疫不全を伴う遺伝病(Chediak-Higashi 症候群)でも白子症が合併します。
■治療・管理
残念ながら現在のところ根本的な治療法はありません。ただし悪化することはありません。遠視・近視・乱視があれば、眼鏡で矯正してすこしでも視力が伸びるようにします。まぶしがる場合(羞明)(しゅうめい)には、特殊なサングラス(遮光眼鏡)が役立つことがあります。
視力障害が強い場合には、就学に当たって配慮が必要になります。

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