角膜炎
- ■はじめに
- 角膜炎は、細菌やウイルスの感染などにより生じる角膜の炎症です。また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に伴って発症する結膜炎が重症化すると角膜の炎症を引き起こしてくることがあります。原因によって、治療法や予後が大きく異なりますので初期診断と早期の治療開始が重要です。
- ■眼症状
- 最もわかりやすい症状は、充血です。同時に、痛みや目ヤニあるいは乳幼児では急にまぶしがったり(羞明),眼を開けなくなったり機嫌が悪くなることなどが特徴といえます。結膜の充血とともに、角膜が白色に混濁します。混濁の程度はさまざまですが、混濁が1 か所の場合と複数の場合があります。
小児では、細菌や真菌に伴う角膜炎は少なく外傷に伴って生じることがほとんどです。問題になるのは、ヘルペス性角膜炎ではやり目(流行性角結膜炎)に似た症状を示し、瞼に水疱を伴うことが多いとされています。
また、角膜が全体的に円盤上に白くはれる(浮腫)こともあります。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)や麻疹でも起こってくることがあるので、全身の感染症との関連にも注意が必要です。基本的に片眼に起こってくることがほとんどです。
一方、アトピー性角結膜炎では、全身の皮膚症状とともに眼瞼結膜に石垣状の乳頭増殖が生じ、同時に角膜に炎症を起こしてくることもあります。角膜周囲の充血が強く、白い盛り上がりが生じたり角膜中央やや上に白い濁りを呈したりしてくると、視力低下の原因となります。アトピー性角結膜炎は、左右差はあるにしても両眼に起こってくることがほとんどです。
- ■治療・管理
- 角膜の混濁は、特に小児期における視力発達に大きな影響を与えます。治療により炎症が落ち着いても角膜に変形や混濁を残すことも多いので、できるだけ早い時期に専門医の診断を受け適切な治療を行うことが大切です。
原因により使用する薬剤が異なります。細菌や真菌では,抗生物質の点眼や全身投与を行います。ウイルス性の場合には、再発することがしばしばあるため、抗ウイルス剤の投与に加えてステロイド点眼や混合感染予防目的に抗生物質点眼を行います。アトピー性角結膜炎では、全身的な治療とともに抗アレルギー剤点眼や免疫抑制剤点眼を使用し病状によってステロイド点眼を増減することで対応します。
いずれにしろ、角膜病変は病状の変化が速いため、症状に応じて眼科に頻回に受診したり入院治療が必要になることがあります。
7~8 歳以前に生じた角膜炎に対する治療後に、角膜に変形や混濁を生じた場合には、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正を行い、弱視訓練が必要になります。