子どもの眼の発達と年齢ごとの異常所見について

子どもの眼の発達と年齢ごとの異常所見について

1)こどもの眼の発達
生まれたばかりの赤ちゃんは、明りがぼんやりわかる程度の視力しかありません。その後、お母さんの顔を見たり、おもちゃを見たりしながら、徐々に視力が発達します。その時期に、視線が合わなかったり、見るのを邪魔するようなものがあったりすると、視力は正常にそだちません。こどもの眼は8歳くらいで大人と同じくらい見えるようになりますが特に5歳くらいまでが最も重要な時期といえます。両眼視といって、両目でものを見て遠近感を正確に把握する能力がありますが、これは生後1年の間に発達します。
2)赤ちゃんの眼の異常について
赤ちゃんが生まれてすぐに気づく眼の異常には、①瞼があかない、②眼が揺れる、③眼の色がおかしい、などがあります。生まれて1週間たっても瞼がちゃんと開かないときは、先天性眼瞼下垂といって瞼の病気があるか小眼球といって極端に眼が小さい可能性があります。眼が揺れるのは眼振といって、眼や脳の異常があることを疑います。眼の色がおかしいというのは、黒目が白かったり、茶目が灰色だったりすることをさします。このような異常があると、産科や新生児科の先生が気づくことが多いのですが、家に帰ってからご家族が気づくこともあります。すぐに眼科医に相談してください。
赤ちゃんの涙の量が多くて、いつも眼がぬれていることがあります。先天性鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)といって涙を鼻へ流す管がつまっていることがあります。多くは自然に流れるようになりますが、目やにが増えるようなら眼科で治療します。
3)1歳までの赤ちゃんの異常について
生後3ヶ月までに、正常ならばじっとお母さんの顔をみつめたり、眼で物を追ったりするようになります。このころの赤ちゃんの視力は0.1くらいです。けれどまだどこを見ているかはっきりしないこともしばしばあります。6ヶ月くらいになると、視線はほぼ定まるようになってきます。
赤ちゃんの眼は内側の皮膚が白目にかかっていることもあり、眼が内側に寄りすぎている「内斜視」のようにみえることがあります。外側に向く「外斜視」がみられることもあります。多くの場合、これは自然に治ってきますが、なかには本当に斜視のこともあります。フラッシュをたいて撮影した写真のなかに、片方の眼だけ違う色に光っているようなら斜視の可能性があります。もし、いつも同じ眼が光って映るようだと「先天白内障」や「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」という悪性腫瘍のこともありますのですぐに眼科に相談してください。
4)1歳から3歳の子どもの眼と異常
このころの子どもは、眼に異常があっても、それを言葉にすることができません。眼がかゆい、痛いはもちろん、眼が見えているかどうかも言いません。特に片眼だけが見えていない状態では、普段の生活には支障がないので周りが気付いてやらないといけません。テレビやおもちゃを極端に近づいてみる、まぶしそうに眼を閉じる、眼を細めて物をみる、上目遣いや横目づかいなどおかしな目つきをする、ということがあれば眼科医に相談してください。この年齢でも眼科の検査は可能ですが、できれば小児に強い眼科医か視能訓練士のいる眼科を選ぶといいでしょう。
5)3歳以上の子どもの眼の異常について
3歳になると視力検査ができるようになってきます。そうなるとほぼ正確に視力がわかります。視力検査は物を見て、それを見えたと反応することができる必要があるので、実際に見えている視力よりも低くなります。3歳をすぎると正常ならほぼ1.0の視力がありますが、検査に慣れていないことも多いので、0.7くらいでも正常と判断します。強い遠視や乱視、近視などの屈折異常が視力の妨げになっていることがあり、放置すると正常な視力に届かないことがあります。健診で精密検査が必要と言われたら、必ず眼科を受診するようにしましょう。

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